立山かんじきの紹介
独特の手法により他県に無い爪を組み込み、横滑りを止めるもので、どんな冬山の斜面や深雪、硬い雪など、いかなるところで
も容易に雪上走行が出来ます。〈丈夫で、履きやすく、美しい〉という特徴を守り通し、独特の粘りを持ち耐久性があります。
材料は立山山麓周辺標高400㍍から1,000㍍に自生するクロモジ、ネソ(マンサク)、ヂシャ(アブラチャン)を使用します。
採集時期は年二回、11月から12月初旬、3月雪解けから芽吹く5月連休くらいまで、作り手自らが吟味採集します。
採集した材料は、釜で3時間煮詰め軟らかくして、曲げ行程をした後1ヶ月以上室内で乾燥させ、その後かんじき製作にかかりま
す。
手間隙長期にわたり採集から約2ヶ月後やっと完成となります。
一つとして同じ木が無いため、前後の組み合わせが難しく、節などの処理、楢爪の製作取り付けなど手間隙がかかった伝統工芸
品とも言えます。
手にすればきっとその良さが分かって頂けるものと思います。
立山かんじきの手入れ方法
専用油(アマニ油)を塗ると長持ちし20年以上使え、風合いも増します。
また、カビ防止、雪が付きにくくなる効果があります。
使用後の手入れは急乾燥やカビなどで表面にひび割れ(ささむけ)したときはナイフで削り、布ペーパーで磨いてください。
立山かんじき師匠佐伯英之氏のビデオです。
ご覧下さい。
令和三年一二月一七日チューリップテレビのニュースN6(いいね富山)で立山かんじきが紹介されました。
立山かんじきの歴史
立山かんじきは、約1,200年前から立山登山口の地、芦峅寺で作られ雪上歩行や山仕事、冬の生活
必需品として愛用されていました。
1956年の第一次南極観測隊で芦峅寺出身の山岳ガイドが使い、雪上歩行の高性能が認められ登山ブームもあり東京、大阪のスポ
ーツ店に売り込んだことで全国に広がりました。
昭和32年より立山かんじき初代故佐伯春吉氏が芦峅の地でかんじきの製作をはじめ、昭和60年より二代目英之氏が父の元修行を
積み二代目となりました。
英之氏が受け継ぐ前までの立山かんじきは、芦峅かんじきと呼ばれていましたが、全国的に知名度をあげたいという思いで
立山かんじきに改名しました。
平成30年、英之氏高齢のため引退を決意した事から、全国唯一のかんじき職人が消えかかりましたが、富山市在住の私こと
荒井高志が三代目として後を継ぐことを決意、平成30年6月より英之師匠に志願しました。
立山かんじきが後世に受け継がれ末永く愛される事を願いつつ、伝統の技を受け継ぎたいと思っています。