リゾートの概念 |
「リゾートとは、単一ないしは、複数的経営組織の元で、保養を目的とした人々に対して、さまざまなレジャーライフが提供されている地域」 |
リゾートの具備すべき4要件 |
@ 日常性を越えた施設、環境を持っていること。
A しばしば行ける所であること。
B 滞在できるところであること。
C お気に入りの活動ができる所であること。 |
リゾート法って? |
昭和62(1987)年に「総合保養地域整備法」(いわゆるリゾート法)ができました。この法律が作られた背景には、国民の余暇増大への対応、新しい地域振興策の展開、内需主導型経済構造への転換がありました。
この法律の内容として
@ 良好な自然条件を備え、複数の市町村で構成される15万ヘクタールの規模を整備対象地域とする
A その中に3000ヘクタール以下の重点整備地区を数箇所設ける
B 民間事業者が具体的な整備計画を有していること
の3点を満たし、各都道府県がそれに基づき基本構想を策定し、国の承認を得て資金面、税制面などで優遇措置がとられることになります。そのため、各自治体は乗り遅れまいとして、しっかりとしたリゾートの概念を持たないまま、他の国家プロジェクトと同様に計画を進め、陳情合戦を繰り広げたのです。
しかしその後バブルが崩壊し、リゾート開発に乗り出していた多くの企業が撤退し、また、ゴルフ場会員権の問題や、リゾート開発による環境への悪影響が指摘され始め、「リゾート開発=悪」という考え方が広まり、リゾート法に基づく開発のほとんどが中止・凍結または規模の縮小などを余儀なくされています。 |
リゾートって新しく作らなければならないの? |
リゾート法の内容の@とBを見てください。このことは次の2つのことが隠されているのです。
@ 既存の観光地は指定から外す
B リゾートの適地であっても、民間企業の具体的な進出計画のないところは外す
つまり、リゾート法では既存の観光地や温泉地は指定されないのです。
今ある施設に少しだけ手を加えたり、運営面で少し工夫すれば、充分リゾートになりうる観光地はたくさんあります。指定されなくてもリゾート地を造ること、または観光地からリゾート地への転換は充分可能なのです。 |
リゾートの施設ってみんな同じもの。金太郎飴だ!? |
皆さんの家の周りにある商店街を考えてください。八百屋、肉屋、魚屋、本屋、服屋、文房具屋・・・いろいろありますね。隣町の商店街にはなにがありますか?お店の種類はあまり変わりませんよね。つまりそういうことです。
リゾートのキーワードに長期滞在という言葉があります。長期滞在するにはそのための機能が必要なのです。人間が生活するために必要な都市の機能は、少なくとも日本国内ではあまり変わりがないはずです。「地域独自のリゾート」という声もありますが、地域の個性が必要なのは観光資源を有する観光地なのです。上の『観光地とリゾート地の違い』を見ていただいてお分かりのように、リゾート地と観光地は過ごし方が異なり、それに対応する資源も異なってくるのです。 |
日本人が一ヶ所に1週間滞在できるか? |
「1週間滞在するとしても金がない」、「1週間滞在しても飽きる」という意見があります。確かに現在の旅行形態を考えればそのような疑問は出てきます。
まず、1つ目の問題から。
現在の1泊の旅行を前提をした宿泊施設を利用し、そのような施設、サービスを期待しての長期滞在ができるのは、ほんの一握りの人たちでしょう。また仮に1日の費用を節約したとしても、まとまって休みを取り長期滞在したらそれなりに費用がかかります。欧米では、1年の生活設計の中でリゾートが重要な位置を占めていて、生活費の中にリゾートにおける活動費用が組み込まれているのです。日本人はお金をそういったことに使おうとしないだけなのではないでしょうか。欧州、特に北欧の人たちは太陽にあたるために、つまりヒトとして生きていくために必要ということも言えますが・・・。
2つ目の問題。
これまでの旅行形態を見ると、滞在型より周遊型が好まれていますが、これも子供の頃からそういう旅行を繰り返しており、慣れているからではないでしょうか。小さい頃から滞在型の旅行をしていれば、慣れてくるはずです。日本人が滞在を嫌う特性をもっていることはないでしょう。昔は湯治という習慣もあったくらいですから。
また、「休みが取れない」という声もよく聞かれます。個人の意識も多少はあるでしょうが、やはりこれは企業や社会に帰する問題です。国の制度としていち早く長期休暇制度の導入が期待されます。 |