スターダスト騒動〜ハカイダーの野望〜

                                    秋月げん


登場人物

・鷹志田 影(たかしだ えい):元雑誌記者。家庭の事情により地元・岩国に引っ込んでいたがマスコミの世界への未練断ち切れず、返り咲きを目論み特ダネ求めて潜入した神ノ孫島で飛行スーツを手に入れる。

・カゲホーク:鷹志田 影が飛行スーツを身に着けた姿。ヘルメットのロケット噴射で空を飛ぶ。腕の錘は超硬イリジウム炭素硬合金にジルコニアライニングを施したものであり、サブロケットにて単独で飛ばし、ロケットパンチとして使うこともできる。

・K:警視庁特別科学捜査室所属のロボット刑事。ロボットを使った犯罪組織「R.R.K.K.バドー」壊滅後、姿をくらましていたが・・・

・新條刑事:Kの同僚の若手刑事。

・芝 奈美、由美:警視庁特別科学捜査室長・芝 大造の長女と次女。

・地獄 耳平(じごく みみへい):警視庁特別科学捜査室なじみの情報屋。鷹志田の舎弟でもある。

・ハカイダー:「R.R.K.K.バドー」とほぼ同時期に、別の犯罪組織で造られた破壊ロボット。スペースバドーに奪われた最終兵器「アーマゲドンゴッド」奪還のため、Kが建造中の巨大ロボット「ファーザー」を未完成のまま奪う。

・フェイリー:ハカイダーの連れていた妖精型ロボット。サタニックボウガンに変形する。

・ロビン:傷ついたKの前に現れた謎の少女型ロボット。

・プレロボコン:元はバドーで犯罪用に造られたテナガマンが、Kに改造されブローアップした姿。飛行形態・ロボコンモスキートに変形する。

・キャプテンワルダー:暗黒星団シャインの尖兵。「キカイダー01」に出てきたサムライワルダーとはビタ一文関係ない。

・Dr.ブーステッド:スペースバドー火星基地の責任者。スターダスト計画を推進する。

・サイボーグC2:スペースバドーの工作員部隊隊長。戦闘マスクを装着しコードマンになる。

・アツリョクガマン:スペースバドーの破壊工作ロボット。武装は圧力釜爆弾、コードマンとの連携攻撃「圧力ブラスター」など。


シーン#1 大島と八丈島の間 神ノ孫島付近 夜

息を潜めるように島に近づく一双の手漕ぎボート、漕いでいるのは情報屋・地獄耳平、同乗しているのは元雑誌記者、現在は地元・岩国で稼業を継ぎ解体屋を営んでいる(はずの)鷹志田 影である。
耳平「♪このよにかみさまがぁ、ホントにぃいるならぁ、あんなたにだかれてぇ♪」
あわてて耳平の腕を引っ張って座らせる影。
影「アホタリャー!そんなでけぇ声出して音痴な歌唄いさらしよって、一銭ポリどもに見付かったらどうすんじゃいボケ!」
耳平「そうはおっしゃいますけど旦那、(伊達眼鏡を下にずらし、眉に唾を付けながら)本当に、本当に行くんですか〜?」
影(耳平の頭を思い切りどついて帽子を叩き落としながら)「ったり前じゃろうが!そん為こんなになけなしの銭渡してここまで船出させたんじゃけぇ。」
耳平(泣きそうな顔で)「でもでも旦那、もうここいらが限界ですぜ。だってほら、あの光(島を指差す)。」
島の海岸から伸びているサーチライトの光条が、海面を行ったり来たりしている。
耳平「なにしろあの犯罪組織バドーシンジケートの本部跡でやんしょ、そらもう警官達が交代番で張り付いてますから、猫の子一匹入れやしませんって。」
影「わかったいや地獄耳。
 こんなはここでええけぇ、後はワシ一人で行ったらいや。」
ウェットスーツを着込んだ影、酸素ボンベを担ぐとゴーグルを下ろし、海に飛び込む。
耳平(船の縁から影をしばらく見送った後、おもむろに座り込み、手で胸の前で十字架を描くポーズ)「あーナンマイダナンマイダ。
(額の上で合掌し)どーか鷹志田の旦那が無事に戻ってくれますように!
 トホホホホ、こんな事が芝の親父さんにでもバレた日にゃ、あたしゃ一体どうなるか。(パイプを取り出し火をつけようとするが、海風が強くてなかなかつかず、逆に指を焼く)
 アチチチチ!」
飛び上がる耳平。

シーン#2 海中

神ノ孫島方向へ向かって泳ぐ影。
影(モノローグ)「R.R.K.K.バドーシンジケート。
 独自に開発したロボットを使い、依頼人から金を取り殺人その他の犯罪行為を請け負うっちゅう前代未聞の組織型ハイテク犯罪は、主犯の霧島竜治が、こん、神ノ孫島のアジトで爆死っちゅうこって一応は決着を見たと、新聞その他の報道機関はそう伝えちょるが、そこまでに至った経緯じゃとか、公式に発表されちょる公式な情報が、あまりにもショボ過ぎる。
 警察は、あるいは政権与党の奴らぁワシら国民に絶対なんか隠しちょる。
 じゃけぇワシは、こん、神ノ孫島を、バドーのアジトじゃったっちゅう神ノ孫島を調査しちゃろうと思い立ったっちゅう訳じゃ。
 なんしにって?
 きまっちょろうが、今再び、ジャーナリストの世界に返り咲くためじゃ。
 親父が死によったけぇ仕方無く岩国に戻り稼業をついじょるが、解体屋なんちゅうのはどうもいかん。
 ただ壊しゃええんでのうて、やれ廃棄証明じゃ、マニフェストじゃっちゅうて、ややこしいてワシの性にあわん、はっきりゆうて、苦痛じゃ。
 ほうかっちゅうて、一旦辞めた大手雑誌社に今更戻れる訳もなく、ほいじゃったらいっそフリーで一旗上げちゃれと。」
神ノ孫島の灘に沿って泳ぐ影、岩肌に、明らかに人口的なトンネルを発見。泳いで近寄ろうとした所を何者かに腕をつかまれる。
影の腕をつかんだのはヒューマノイド型のロボットだった。漆黒のボディに稲妻を思わせるゴールドのライン、顔に当たる部分には凸レンズ状の眼が二つ、赤い光を放っていた。何より不気味だったのはその頭部、透明フードに覆われたそこには人間のものと思われる、恐らくは生きたままの脳が丸見えになっていたからだ。
影、ノズルをくわえた口元から気泡を大量に吐き出し、踵を返して逃げようとするが、黒いロボット(以降ハカイダーと呼称)の力が強く、腕が振り解けない。
影(モノローグ)「バドーの生き残ったロボットいや、ワシ、殺されるんかい!」
ハカイダー「うろたえるな、オレはお前に、人間に危害を加える意志など、無い!」
影「グゲガボ」ノズルの外れた口から泡を吐き、苦しそう。
ハカイダー、ノズルを影の口に戻してやる。
ハカイダー「今あのトンネルに入っていくのが危険だと言っておるのだ。」
騒ぐのを辞めた影、ハカイダーを不思議そうに見つめる。
ハカイダーの頬にある十字傷を模した聴音機がエンジン音を捉える。
ハカイダー「そうら来た、隠れろ!」
ハカイダー、影の手を引き近くの岩陰に隠れる。
岩陰からそーっと顔を出し、トンネルの様子を窺うハカイダー。影もそーっと顔を出す。
トンネルから飛び出す、ブルーとシルバーの2トーンにカラーリングされたスーパーカー(以降スパック号と呼称)。
スパック号の運転席にはロボット刑事Kの姿。
結構なスピードで水中を進み去って行くスパック号を、ただ呆然と見送る影。
ハカイダー、スパック号が見えなくなった頃を見計らって岩陰から飛び出す。
トンネルのあったはずの場所が、いつのまにか何の変哲もない岩肌になっていた。その前に立ち、ハカイダーショットを構えるハカイダー。そして発砲。
砕け散る岩盤、空いた穴から、トンネルの天井に灯ったライトが覗く。
ハカイダー(影の方を振り返り)「どうした、入らないのか?」
そう言うやいなや影の反応を待ちもせず穴に入って行くハカイダー。
影「お、おう。」
あわてて岩陰から飛び出し、ハカイダーを追って穴に入る影。

シーン#3 水中通路

先に立って泳ぐハカイダー、その後に追随する影。
影(モノローグ)「一体何モンじゃあこいつ。すくのうとん、ワシを今すぐどうこうしょうかっつう訳でんなさそうじゃけえ。
 いやいや、まだ油断しちゃあ、いけん。こいつ、どう見たってバドーの人殺しロボットとやらの生き残りじゃあ。」
やがて水中通路は45度くらいの登り勾配となり、そこを通り抜けると広い溜め升の中に出た。

シーン#4 格納庫

格納庫の一角(と云ってもその面積のまさに4分の1を占める)にある溜め升の水面から顔を出すハカイダー、続いて影。
影「何じゃっこりゃあ!」
溜め升のすぐ際にそびえ立つ巨大な二本足。古代ギリシャの格闘士を思わせるデザインの、人型巨大ロボット(但し下半身のみ)だった。
更に上を見上げると、高さ百メートル近くも有ろうかと思われる格納庫の天井に設置された走行クレーンから、上半身(但し頭部は無い)とおぼしきボディが吊り下げられていた。
影「おい!そのバドーシンジケートっちゅう奴ら、こんなデカブツロボまでつこうて犯罪やりよったんかい!
 ワシら一般人は、なーんも知らされんと、一銭ポリども、ワシらをコケに…」
ハカイダー「違うな。」
影「…んやとぉ?」
ハカイダー「これはバドーの造ったロボットではない。
 霧島博士…あのロボット刑事Kとそのマザー・ロボットを造った霧島博士が設計したもう一つのマザー…いやファーザーと呼ぶべきか。」
影「…んやとお!」
ハカイダー「補給及び修理、メンテナンスの機能に特化されたマザーに対し、こちらは火器及び格闘機能に特化された戦闘用の機体として設計されたものの、諸事情から建造されるまでには至らなかった。
 それが今こうして日の目を見ている。それも、押収されたバドーの設備によってだ!
 そう!こいつを造ったのは奴、ロボット刑事Kなのだ。」
影「なお悪いやないかい!
 バドーとやらももうおらんのに、こんな悪魔んごつ刃物持ったキチ…いや国家権力は、どこへその刃を向ける気じゃ!」
ハカイダー「(上を指さし)バドーは 滅びては いない。」
K「お前達何者だ!何を、どこまで知っている!」
突然声のした方向を振り向く二人。
いつの間に入ってきたのかロボット刑事Kが、破壊銃を構えて立っている。
K「バドーの残党…ではなさそうだが?」
影「ちゃうわい!ワシゃあ只のジャーナリストじゃ!
 こんなら一銭ポリどもの暴走する権力、そん腐ったざまぁ暴露しちゃるためん、取材にきちょっとじゃ!」
K(ハカイダーに向かって)「お前もバドーのロボットではないな。」
ハカイダー「いかにも!俺の名はハカイダー。」
Kの露出した頭部表面の赤い溝を、LEDの光が走査する(情報を検索しているのだ)。
K「ハカイダー…光明寺博士疾走事件に、その名のロボットが関与していた。
 お前は、その同一個体か?」
ハカイダー「フフフ…さあな。」
左掌を中途半端に開いた状態で頭上にかざすハカイダー。
どこに潜んでいたのか、そこへ飛来したのは銀色の妖精、いや、全長30センチ程度と、サイズ的には確かに妖精っぽいのだが、翼が蝙蝠型である事、そして何より前頭部から生えている、バッファローを思わせる漆黒の角から察するに、小悪魔と呼んだ方がむしろふさわしいようだ。
その小悪魔はハカイダーの左掌に片足を収めると、残る片膝を立てながら全身を大きく反らせた。
ハカイダーが小悪魔を持った左手をKに向けると、小悪魔はクワッと開いた口から真っ赤な矢を一本、Kめがけて射出した。
Kの胸に当たった矢、大爆発。Kの装甲が一部破損して飛び散る。
K(目が白い)「この威力は、まるで原子力限定器、馬鹿な!」
ハカイダー「お前の仲間が極秘裏に保管、警備しているらしいが、フフフ…そんな技術俺はとっくに手に入れているのだ。」
K(目の辺りを押さえながら)「むう、目が、目が見えない。」(後ろ足を踏み外し溜め升に転落、悲鳴。)
ハカイダー「名刺がわりの挨拶にしては少々強烈すぎたようだな。いずれにせよこのファーザーは貰ってゆくぞ。
 頭など無くてもかまわん、俺はどうしても宇宙へ行かねばならんのだ!」
壁ぎわの操作ボックスに駆け寄ると蓋を開け、走行、横行ボタンを巧みに操作してクレーンで吊られたファーザーの上半身を下半身の真上に移動させるハカイダー。
次に昇降ボタンを慎重に操作し、上半身を下半身に合体させる。
ガッチャンというドッキング音、合体成功だ。
足裏のエアークラフトを噴射し、ファーザーの肩口へ一気に飛び上がるハカイダー、ハッチを開け中へ入ろうとする。
その様を呆然と見ていた影、急に我に返る。
影「ちょいと待ちんさい!ワシゃーどうやって帰ればええんじゃ。」
ハカイダー「フェイリーに着いて行け、彼女が出口を知っている。」
そう言い残し、ハッチの中へ消えるハカイダー。
影「フェイリー?」
唖然とする影の顔の前に急速移動する小悪魔(以降フェイリーと呼称)。
フェイリー「あたしフェイリー。」
影「わあっ!」(驚いて飛びすさる)
フェイリー「どったの?」
影(土間にへたり込んだままフェイリーをにらみ付け)「こここ、こんなあー!
(立ち上がりながら)しゃべれるんじゃったら、そうじゃっちゅうて最初に、言うちょきや。」
ファーザーの上体辺りから、エコーがかったハカイダーの声。
ハカイダー「フェイリー!さっさと発進口を開かんか。」
フェイリー「ハーイ!」
壁ぎわの柱に組み付けられた操作盤の方へ飛んで行き、操作するフェイリー。
天井の一角(ファーザーの真上)が扉状に上方向に開くと、そこが真上に延びる発信口に通じている。轟々とモーター音を立てながらファーザーが両腕を上げ、握り拳が天を向く。
ファーザーの首に当たる部分の穴から、頭部とは云えないまでも全天視界窓の付いた、飛行機の機首の形をしたものが迫り出して来る。
ファーザーの、背中とふくらはぎに当たるか所にそれぞれ備わったバーニアからジェットが噴き出す。
熱風に思わず顔を覆う影。あたりいっぱいに煙が立ち込める。
煙が治まり視界が回復した時は、既にファーザーの姿はなかった。
影(あわててあたりを見回しながら)「フェイ…リー?」
フェイリー「はーい、こっちきてこれ着けてー。」
30メートルばかり離れた空間で足下を指差すフェイリー。そこの土間の上に黒ビカリするものが数点置いてある。
影が舌打ちしながら駆け寄ると、そこにあったのは
1.後頭部にバーニア三門ばかりの付いたヘルメット(の、ようなもの、頑丈そうなバイザーと顎紐が付いているので多分ヘルメット)。
2.耐熱シートでできているらしいマントの付いた黒の革っぽいジャケット。
3.弾丸の親分みたいなものを縦に両断したような形状の錘(?)、断面にハンドグリップらしきものと、止め金のあるバンドが付いているのでどうやら腕に装着するものらしい。そしてこの錘にも小さなバーニアが付いていた。
影「……………。」
これら全てを装着し、呆然と立ち尽くす影。
重い頭を真上に向けると、発信口の向こうに夜空が見える。
少し迫り出した前頭部に透明フードに覆われた開口が有り、フェイリーが中でスイッチ類を操作している。
フェイリー「両腕を真上に上げて。」
言われるまま両手を上に持ち上げる影。
影「お、重〜〜〜!」
錘がヘルメットと同じ高さまで上がると、錘の先端が白熱しバーニアがジェットを噴き始める。
フェイリー「行くよっ。テイク・オフ!」
フェイリー、サーマルを接続。
影のヘルメット後部三門のバーニアが一斉に火を噴く。

シーン#5 発進口

ものすごいスピードで上昇する影(以降この装備の時はカゲホークと呼称)。
カゲホーク「あんじゃこらあああああ!」
フェイリー「首動かしちゃ駄目よ!」

シーン#6 神ノ孫島近海(夜)

ボートから、上空を飛び去って行く首なしファーザーを呆然と見送る耳平、手にはしっかり竿を握って釣り糸を垂れている。
耳平「くわばらくわばら、まだあんなのが暗躍しているなんて、日本、いや世界はどうなってしまうのやら(身震い)。」
ファーザーが見えなくなると再び釣りに集中し出す耳平。
耳平(寒いのでそわそわしながら)「それにしても、鷹志田の旦那は一体いつ戻ってくるのやら。(竿をフックに引っかけると、話した両手に息を吐きかけ)はあ〜ナンマイダナンマイダ。
 ナンマイダナンマイダ。」
再び神ノ孫島方向から轟音が近づいて来る。今度はカゲホークである。
カゲホーク「じ〜ご〜く〜み〜み〜!!!!!」
耳平のボートめがけて降下、その縁から紙一重の海面をすれすれに掠めて再び上昇するカゲホーク。その風圧と波のため転覆するボート。
海面から顔を出すと口から水を吐き出す耳平、ひっくり返ったボートの船底に必死にしがみつく。
耳平「(半泣き声で)い、い、今の声……旦那〜〜!!!」
耳平、ずぶ濡れで頭に辺張りついていた帽子を取ると、頭上で振り回す。

シーン#7 格納庫

溜め升の底に沈んで横たわっているK。
K「体が…動かない…」
時折Kの体内メカがショートを起こし、鈍いスパーク音を伴い四肢が痙攣する。
K「いかん!海水が機械の内部まで浸入している。
 僕はこのまま、死ぬ…のか?」
水面の向こうにマザーの幻が浮かぶ。
K「マザー!」
その時、水面越しにマザービームに似たピンク色の光がKに照射され、その体を水面より上まで引き上げる。
溜め升の辺で優美なポーズをとっているバレリーナロボット・ロビン。マザービームはロビンの胸部の、ハート型をした光源から照射されている。
ロビン「私の妹が、大変申し訳ない事を致しました。」
K「妹だと?あの小悪魔がか!」
ロビン「はい、あの時ああするより他に、有りませんでした。
 スペースバドーのスターダスト計画を阻止するためには、もっと味方が必要なのです。その為の力を彼らに、与えておく必要があったのです。」
K「スペースバドー、スターダスト計画?それは一体…いや!そもそもあなたは何者なんです?」
ロビン、片足を上げ、つま先だちとなって踊り出す。
ロビン「私はロビン。」
ロビン、回転しながら消える。
ビームが消え、気が付くとK、傷一つない体で、溜め升の辺に立っている。自分の体を見下ろすK。
K「破損した箇所が、治っている。」

シーン#8 商店街

クリスマスが近いためツリーやイルミネーションで飾り立てられ、家族づれやアベックを中心とした買い物客でごった返している。
芝刑事の長女でOLの奈美、そして中学二年の次女・由美の姉妹も父・大造へのプレゼントを選ぶため、紳士服専門店のショーウィンドーを眺めている。
由美「おねえちゃん、あれカッコいいよ!お父さんのプレゼントあれにしようよ。」
由美が指さしているのは焦げ茶色のレザージャケット。
奈美「由美ったら…お父さん幾つだと思ってるの?もっと落ち着いた感じのを選びましょうよ。」
由美「あら!お父さんまだまだ若いわよぉ。」
とか言いながらもキョロキョロと、他店のショーウィンドーにもチェックを入れる由美、やがて、カジュアルショップのショーウィンドーのスカジャンに目を付ける。
由美「じゃあこれ!これは?」
奈美、苦笑。
奈美、由美姉妹のすぐ後ろで
通行人(おとこ)「おい、あれは何だ!(空を指差す)」
通行人(連れの女)「(男の指差す方角を見上げ)さあ?何かの宣伝でしょ。(気に留めず男の肘を取り行こうとする)」
通行人(男)「(連れの女の腕を振り解き)馬鹿を言え、あんな宣伝が有るものか!」
冬空に浮かぶ巨大な歯車、ゆっくりと回転している。
由美「おねえちゃんあれ、何かしら。
 …バドー?」
奈美「(由美の肩を抱き)そんなはずはないわ由美ちゃん!
 だってバドーは、お父さんと新條さんとKさんが、やっつけてくれたんですもの(と言いながら震えている声)!」
歯車、空中でガコン、ガコンと変形し、人型の巨大ロボットになる。
巨大ロボット(以降ハグルマンと呼称)降下しながら、開いた右手を伸ばす。
奈美、由美姉妹を狙って。
奈美、由美姉妹、きつく抱き合い目を閉じて、悲鳴。
巨大な鉄の手、奈美、由美姉妹をつかんでさらう。

シーン#9 東京タワーの上

鉄骨の上に立つカゲホーク。ヘルメットの中にフェイリー。
フェイリー「いい?影ちゃん、初陣だから念の為一緒に乗るけど、操作はその左グリップに仕込まれたスイッチで、自分でできるわね?」
カゲホーク「うわーっちょるけぇ、ちゃん付けで呼ぶなや!
(両手の錘をヘルメットの高さまで持ち上げ)いてまえ、ていくおふじゃ!」
ヘルメットそして錘のバーニアが火を噴きカゲホーク、発進。

シーン#10 東京上空

再び巨大歯車に戻ったハグルマン、回転しながら飛んでいる。
巨大歯車のコクピットで操縦かんを握るサイボーグC2。後ろの壁には奈美、由美が別々に入れられた透明ボールがそれぞれはめ込まれている。奈美、由美、ボールを内側から叩いておそらく「助けてー!」とか「出してー!」と叫んでいるらしいが、ボールの中の一切の音は遮断され、外へは漏れてこない。
ハイパーウェーブ通信機に着信、Dr.ブーステッドのブチぎれた声が響きわたる。
ブーステッド「サイボーグC2!貴様の任務はスターダスト計画遂行のための事前内偵だろうが!
 勝手に目立つ行動は取るなとあれほど…」
C2「先生よぉ、この二人はなあ、地上部隊のヘマさえ無ければサイボーグ手術を受けて火星基地へ回してもらえる予定だった、例のデコスケの娘だぜ!
 おうよ、俺が写真見て選んでリクエストしたんだ、地上部隊のやつらに。」
ブーステッド「バカタレ!女拉致るために燃料使ってリスクまで冒して地球へ行かせてるんじゃないんだぞ。」
C2「うるせえな、四の五の抜かすとあんたにゃやらしてやんねえぞ。
 妹ぐらいは回してやろうと思ってるのによ。」
ブーステッド「何で妹なんだ、姉よこせ姉!」
C2「あんたこっちの方が好きだろが。」
ブーステッド「愚弄するか貴様!
 あ、いや、それどころじゃない、貴様、追尾されているぞ。」
C2「フン、お出ましかい…
 けちらしてやるぜ!」
ブーステッド「せやから目立つ行動取るなっちゅうに!」
巨大歯車に迫るカゲホーク。巨大歯車、旋回しながらハグルマンに変形。
フェイリー「ぶつかる!」
カゲホーク「もんけぇ!」
ハグルマンの突き出された掌底をかいくぐり、紙一重で脇を擦り抜け背後に回るカゲホーク。
ハグルマン、体中の歯車を180度回転させて向きを変え(体全体が回れ右をするのではなく各部位が別々に反転する感じで)、今度は両手で挟み撃ちにかかる。
フェイリー「来る!」
カゲホーク急上昇して危険空域から離脱。
カゲホーク「いちいち頭ン中でがなんなや!気ィ散ろうが。」
ハグルマンの頭上まで一旦躍り出たカゲホーク、今度はその周囲に螺旋を描きながら下降に転ずる。
膝の高度まで降りた時、ハグルマンの左膝が突然、パラに回転しながら一旦崩れ、次の瞬間巨大な掌に変形、カゲホークの行く手に捕虫網のようにかぶさる。これはまったくの想定外。
あっさり捕まったカケホーク、巨大な掌の指一本一本が歯車となり回転しながら、捕われたカゲホークを噛みに来るがカゲホーク、歯車噛み合いの山の隙間に錘の先っちょを突っ込み、歯車をかろうじて止める。
カゲホーク「どないじゃい、こんスーパーイリジジ…カバトットにジュルジュルコニャンニャンわぃ!」
フェイリー「スーパーイリジウムカーバイド!超硬イリジウム炭素鋼合金。
 それにジルコニアライニングよ。」
カゲホーク「おうよ、そんライニングっちゅうのしちょるけぇ…」
フェイリー「あまつさえS.D.C.スーパーダイヤモンドコーティングもね。」
カゲホーク「ほうじゃ、えすでーしーやっちょうけぇ、火星くんだりの金属なんぞにぶっ裂き負けたりせんのじゃあ!」
カキーン!
錘を噛み込んだ歯車の歯が一つ、乾いた音と共に欠け飛ぶ。
フェイリー「やられない代わりにこのままだと脱出もできないわ、影ちゃん、空いてる方の錘をあいつの頭に向けて。」
カゲホーク「こ、こうか?」
言われるままに片方の腕を持ち上げるカゲホーク。錘のノズルからジェットが噴き始める。
カゲホーク「何すんなら?」
フェイリー「放して!」
錘の中で影の手がハンドグリップを放した途端、錘は勢い良くバーニアを噴かし、超硬の弾丸となって巨大ハグルマンの頭部めがけ発射された。
錘はハグルマンの目の辺りを貫通、その瞬間、ハグルマンの全身を形作る歯車たちは軸の保持力を失い、カゲホークを捕えていた手が緩んだ。
フェイリー「離脱!」
カゲホーク「応!」
残った錘とヘルメットから一気にジェットを噴かしながら、少々スパイラル気味ながらもハグルマンの射程を離脱するカゲホーク。
カゲホーク「戻って来るんじゃろうの。」
フェイリー「戻ってくるわよ。」
カゲホーク「マジかや…。」
フェイリー「ジェット止めて!」
カゲホーク「あ?」
眼前に東京湾の海面が迫っていた。
カゲホーク「おおおおおおおおお!」

シーン#11 巨大歯車(着陸中)内部

奈美を捕えた透明半球内部に入り込み、奈美を組み敷くサイボーグC2。
由美、別の半球の中からその様子を見て何か喚いている(声は聞こえない)。
奈美「嫌!嫌!嫌ーっ!」
C2にフォールされ、ミニスカートからすらりと伸びる生足をばたつかせる奈美。ストッキングは既に破られ、僅かな残骸が足首周りに残っているだけだ。
奈美は両手首にはめられた特殊リングのためか、両手を万歳した形で床に付けたまま、動かすことができない。
C2「観念しろっつってんだろコラァ!」
奈美のカーディガンとセーターを一緒くたにたくし上げるC2。
C2「(露になったブラの脇紐を引っ張りながら)背中浮かせろオラァ!」
脇を締め、背中が浮かぬよう背を丸め精一杯の抵抗をする奈美。
C2「(ニヤリとして)そうかい、それじゃあこっちの方から可愛がってやろうかい。」
C2、一旦後退し、奈美の太股の下から外回りに廻した両手を、ミニスカート両サイド裾からそれぞれ差し入れる。
奈美「あっ駄目!」
一瞬の隙を突きC2の顎を膝で蹴り上げる奈美。上体の起きたC2の胸板に足裏をつけると前蹴りで押し放す。
半球内壁に後頭部を打つC2。
仰向けのまま動けぬまでも頭だけを上げ、C2をキッとにらみ付ける奈美。
C2「気の強え…益々気に入ったぜ。」
C2今度は奈美の頭上方向に回り込み、そこから縦四方固めの体勢に入る。
奈美「(泣き声混じり)やっ…やめっ!やめてぇーっ!」
由美、その様を見て隣の半球の中で泣き崩れている。
その時、突然響き渡る衝撃音と振動。
唇の周囲を嘗め回しながら起き上がるC2。
再び衝撃。
C2、壁抜けのように半球から出ると操縦席に戻り、モニターパネルに外部監視カメラの映像を映し出す。
旧バドーのロボットだったテナガマンが、長く伸びた腕の遠心力を利用して巨大歯車を殴り付けている所が映る。
C2「テナガマンだと?野郎さては配線を繋ぎ替えられたな。」
戦闘用フルフェイスヘルメットを被るC2(以降この形態をコードマンと呼称)、ヘルメット後部から2本のコードを引っ張り出し、先端の電極を両目の位置に付いている赤い楕円球体にそれぞれ差し込む。

シーン#12 採石場(巨大歯車の着陸場所、外)

巨大歯車上面の軸受型ハッチからハイジャンプで飛び出したコードマン、空中で体を大の字型に伸ばしてパワーチャージのポーズ、胸元のツーオイクォーツが太陽光を取り込み荷電イオンに変換、五体の数カ所に埋め込まれた鏡面板にネオンサインよろしくフラッシュ光が走る。
両腕を伸ばし空中のコードマンをつかまえようとするテナガマン。空中で側転スピンしながら両拳から雷を放つコードマン。
コードマン「フォノン・ブラスター!」
テナガマンの両腕、付け根に雷を受け、もげる。
巨大歯車の手前に着地したコードマンを数発の銃弾が襲う。横飛びに転がりかわすコードマン。
コードマン「まだ居やがんのか!」
テナガマン「ブローアップ!」
テナガマンが背負っていた赤いバックパックが宙に浮き上がり、分離。展開したバックパックはアーマーとなりテナガマンのボディを覆って行く。
コードマン「貴様!その姿。」
打って変わってマッシブなフォルムとなったテナガマン(以降この形態を「プレロボコン」と呼称、但しまだボンネットのハートマークはなし、だから“プレ”ロボコン)、頭部を覆うドーム状アーマーの、二つの丸いレンズ(丁度眼に当たる位置)に表示されたサインの形か、怒りの表情にも見える。
プレロボコン、足をアーマー内部に収納し、代わりに前輪と、開いたアーマー尻部から後輪及びエンジンが出現、走行モードに変形する。
プレロボコン(変形プロセスを進めながら)「ボコわカツテろぼっと刑事Kトタタカイ、ヤブレタ、ダガソノゴろぼっと刑事Kノテニヨリアタラシイノウリヨクトトモニウマレカワッタノダ。」
プレロボコン、コードマンに突進。
掌を開いて身構えるコードマン。
迫るプレロボコン、突進力を利用した100馬力パンチを繰り出す。
コードマン「とう!」
パンチを直前で見切ったコードマン、ジャンプ。プレロボコンの頭上で宙返りしざまに頭部へ後ろ蹴り一発。
ホイールをスピンさせながら後ろへ向きを変えるプレロボコン、だが辺りには砂塵が立ち込めるばかり、そこにコードマンの姿は無い。
ガン!
砂塵に紛れてプレロボコンの後輪に取り付いていたコードマン、フレームを破壊しようとナックルを打ち込み始める。
コードマンを振り落とそうとメチャクチャにスピンを繰り返すプレロボコン。
流石のコードマンもはやしがみつくだけで精一杯。這這の体でプレロボコンの背後肩口にたどり着く。
プレロボコン、コードマンを摘み出そうと腕を伸ばすが、背後に密着された状態では成す術が無く、不用意に伸ばしすぎた両腕が絡まる。
コードマンがプレロボコンにかかり切りになっている隙を突き岩陰から飛び出す新條刑事、巨大歯車に駆け上り、開きっぱなしのハッチから中へ侵入する。
それに気づいたコードマン、ヘルメットの通信機を作動させる。
コードマン「アツリョクガマン、起きろ!」

シーン#13 巨大歯車内部

操縦室入り口横の金属製の箱の上に無造作に置かれた圧力鍋(の形をしたロボットの頭部)、細長い眼窩の中で、モノアイが点灯し、左右に動く。
入り口の扉を乱暴に開け侵入を果たした新條刑事、透明半球に捕われた奈美と由美を見つけて駆け寄る。
やおら拳銃を抜いた新條、壁ぎわに設置された配管ヘッダーに数発撃ち込むと、フランジの壊れた配管を一本強引にもぎ取り、それで奈美の閉じ込められている半球をどつき始める。
新條の背後で箱の蓋を破り全身立ち上がるアツリョクガマン。それを新條に伝えようと必死で叫ぶ奈美と由美だが、半球の外には何も聞こえない。
新條の振り上げた配管をアツリョクガマン右手の螯がつかむ。驚いて振り向く新條。
アツリョクガマン、今度は左手のノズルを配管中ほどに向け高圧蒸気を発射。ぐにゃりと曲がる配管。
流れてきた蒸気に巻かれる新條。画面いっぱいに立ち込める蒸気。新條の悲鳴。

シーン#14 採石場(巨大歯車の着陸場所、外)

ついにプレロボコンの後輪フレームをもぎ取ったコードマン、ロボコンを両手で持ち上げ飛行機投げ。
コードマン「アツリョクガマン!撤収だ。」
投げられて転がったまま、長い腕をバタつかせ起き上がれないプレロボコン。
ギヤをゆっくり回転させ、微妙に浮き上がる巨大歯車。
コードマン「とう!(気合い一閃、巨大歯車の天辺に飛び乗ると、プレロボコンをふりかえり)
 じゃあなっ!」(ハッチから内部へ消える。)
プレロボコン、倒れたまま飛行形態への変形を開始。エンジンが引っ込み、ボディ下部両脇から通常よりスタンスの広い、長い脚が生え、ようやく起き上がる。
尻部から伸ばした新しいフレームからテールローター、背面上部からメインローターをそれぞれ展開(以降この形態をロボコンモスキートと呼称)。

ローターを回転させて離陸、既に遥か上空へと飛び去った巨大歯車を追尾始めるロボコンモスキート。だがその内臓スピーカーからロボット刑事Kの声が響く。
K「待つんだロボコン!君のメカニックでは彼らを宇宙まで追うことはできない、引き返せ。」
ロボコン「デスガけい、ナミサンユミサン、ソレニシンジョウケイジマデ…」
K「わかってる!
 もし奈美さんたちに何かあった時は僕も…僕も死ぬ!」
ロボコン「……!」

シーン#15 スペースバドー火星基地

シャインの声「Dr.ブーステッド!」
ブーステッド「ははーっ、偉大なる、シャイン!」
シャイン「アーマゲドンゴッドは、完成しておろうな。」
ブーステッド「ははーっ、シャイン様より賜った最終回路図のおかげさまを持ちまして、いつでも飛び立てる用意にございます。」
シャイン「よろしい、わが星系の科学力を持ってすれば、最終回路を改良し、その出力をして地球をも移動させるまでに高めるくらいは造作もない事。
 ブーステッドよ!」
ブーステッド「はーっ!」
シャイン「このスターダスト計画の成功をもって、そちを正式にスペースバトー首領に任ずる。」
ブーステッド「ありがたき幸せに存じます!」
通信装置に向かってひれ伏すブーステッド。
突然鳴り出す警報。
ブーステッド「何事か!」(顔を上げ、オペレーターに向かってどなる)
オペレーター「フォボスの陰より所属不明の巨大飛行物体出現!当基地へ接近中!」
ブーステッド「モニター映せ!」
モニターに映ったのは、フォボスを背景に、降下して来る首の無い巨大ロボ。そう、ハカイダーの操るファーザーである。
そのモニターにもノイズが走り、それがやかて画面全体に広がる。
ブーステッド「今度は何だ!」
通信兵「何者かが専用回線に割り込んで来ています!」
ブーステッド「繋げ!」
切り替わったモニターに、ファーザー制御室に居るハカイダーが映る(BGMに「ハカイダーの歌」インスト流れ出す)。
ハカイダー「お初にお目に掛かる、我が名はハカイダー。」
ブーステッド「知っておる。だがよもや生きておったとはな。
 この火星に何の用だ。」
ハカイダー「アーマゲドンゴッドを返していただきに参上した。」
ブーステッド「アーマゲドンゴッドは我らスペースバドーが有効に使わせてもらう。
 今更負け犬に返してやる義理など無い。」
ハカイダー「ならば力ずくでも返してもらうまで。」
ブーステッド「モニター切れっ!」
切れるモニター。
ブーステッド「原子破壊砲全門発射用意!あの亡霊を消し去ってしまえ!」
火星の地表に十数門の原子破壊砲が出現、ファーザーに狙いを付ける。
ハカイダー「サタン・ダークネス!」
ファーザーの右手が高々と上がると、そこから暗雲が発生し、ファーザーの全身を包み始める。
ブーステッド「撃てーっ!」
砲門から発射される光線、だが暗雲に吸収されてしまいファーザーに焦げ一つ付けられない。
ブーステッド「サイボーグC2の帰還まで後どのくらいだ!」
オペレーター「地球時間で後十五分と二十秒!」

シーン#16 宇宙 火星圏を飛ぶ巨大歯車

操縦席のC2「やれやれ、帰還早々SOSとはね。
 バトルギヤー・フォーメーション!」
ハグルマンへと変形する巨大歯車。降下。

シーン#17 火星表面

スペースバドー地下基地を覆う地表をナックルでどつき回すファーザー。
背後に降下してきた巨大ハグルマン、ファーザーを羽交い締め。
C2「今のうちだ!首の穴から一発ぶち込んでやれや!」
アツリョクガマン「オーケイ。」
ハグルマン首付近から這い出したアツリョクガマン、ファーザー肩部に飛び移る。
アツリョクガマン「圧力がま爆弾!」(腹部から円盤状の爆弾を、ファーザー首の穴内部めがけて発射。
しばらく於て爆発音、首の穴から爆風が噴き出す。
アツリョクガマン「ざまあみろ。」
ハカイダー「ハッハッハッハッハッハッハ…」
既に脱出し、ファーザー足下の地表に立っていたハカイダー。
ハカイダー「アーマゲドンゴッドを返してもらえばそのような機体、もう要らんわ!」
走り出すハカイダー。
コードマンとなったサイボーグC2、ハグルマンから飛び降り、ハカイダーを追う。
コードマン、走りながら右拳からフォノンブラスター連射。
ジグザグ走行で巧みにかわすハカイダー、前回り受身から起き上がったその左手にショットガンを握っている。
ハカイダーショット連射。
こちらもくるり、くるりと巧みにかわすコードマン。
地響きと共に二人の横を流れる運河が縦に割れ、背中に巨大なバーニアを取り付けられたアーマゲドンゴッドが出現する。
シャインの声「もはや一刻の猶予もならん。スターダスト計画、ただちに実行せよ!」
ブーステッド(アーマゲドンゴッド操縦席にて)「了解シャイン、スターダスト計画、発動!」
ハカイダー「やらせはせん!」(ショットガンを、上空のアーマゲドンゴッドに向け構える。)
コードマン「やらせんのはこっちだ、ハカイダー!」
ハカイダーが振り返ると、アツリョクガマンの肩に登ったコードマン、アツリョクガマン頭部の鍋の蓋を取り、そこに右腕を突っ込んでいる。
アツリョク鍋の内部では、コードマンの拳から放射されるフォノンりゅうしを、鍋の内壁が吸収している。
アツリョクガマンの圧力がま爆弾射出スリット内部に、青白い光を放つフォノン粒子が充ちる。
コードマン「食らえ!圧力!」
アツリョクガマン「ブラスター!」
フォノン粒子を纏った圧力がま爆弾が射出される。
咄嗟に飛びすさるハカイダー、直撃は免れたものの、爆風に飛ばされきりきり舞い。

シーン#18 宇宙(火星と地球の間)

地球に迫るアーマゲドンゴッド。
地球から飛び立ち迎え撃つロボット刑事Kの電光スパック号。
天板のカタパルトからスパックミサイル発射。
アーマゲドンゴッドの遮光器眼がフラッシュ光を放つ。
スパックミサイル消滅。
遮光器眼のスリットから延びた二条のレーザー光線が、サーチライトの動きでスパック号を追い回す。
スパック号が横に逃れた隙を突き急加速するアーマゲドンゴッド、スパック号の横を擦り抜けまんまと地球側の立ち位置を盗る。
K「しまった!」
アーマゲドンゴッド、顔面を地球に向けたまま胴体を反転させると、スパック号に向けた腹の一部がスライドして開く。すると中にレンズに似た形をした物が9門、整然と並んでいる。
アーマゲドンゴッド「グラービトーン!」
9門のレンズから重力子が照射される。
間一髪で射程を離脱していたスパック号。
K「駄目だ!このスパック号の装備では、あいつを止めることができない。
 ロビン!」
地球の向こうに、ロビンの巨大な幻影が浮かび上がる。
ロビンの目が点滅を始める。

シーン#19 影のウィークリーマンション

壁に吊るされたクッションの中から起き上がるフェイリー。目が点滅している。
ロビンの声「フェイリー、フェイリー、その人を神ノ孫島へつれてきて頂戴。
 いよいよ、その人の手を借りねばならない時が来たのです。」
ベッドの上、鼾をかいて眠りこけている影。
その影を、点滅する目でじっと見つめるフェイリー。
ウィークリーマンションの外景。響きわたる鈍い音。

シーン#20 東京湾上空

神ノ孫島目指し飛んでいるカゲホーク。ヘルメットの中にフェイリー。
カゲホーク「んだらああ!まーだ頭がブッチガンガンするいや。」
フェイリー「起きないからよ。」
カゲホーク「こんなの起こし方じゃあ永久に目ェ覚めんごつなろが!」

シーン#21 地獄耳平の安アパート

瞬間的に激震する深夜の町。
書棚の最上段から落ちたビデオカセットに顔面を直撃され飛び起きる耳平。
耳平「うわーっ!どんどらはんじゃー!!
 ダテメガネ、ダテメガネ、ダテメガネ。」
蒲団から這い出し手探りで眼鏡を求めさまよう耳平。出窓にぶつかった拍子に目が開き、そこから見えた夜空に驚いて腰を抜かす。
耳平「うわーっ!そそそ、空が…空が!!」
空が回っていた。星の光の残像が、漆黒の夜空に無数の同心円(スターボウ)を描いていた。
耳平「回ってる〜〜〜〜!」

シーン#22 神ノ孫島 地下格納庫

機首を真上に向け垂直に立っているゲットマシン・エクスチェンジャー号。
コクピットに着席しているカゲホーク。
カゲホークのヘルメット前面フードによじ登り操作説明するフェイリー。
フェイリー「操作はその飛行スーツとまったく同じ、左グリップが高度調節と方向舵、右グリップは前に倒すと加速、後ろで減速、そして左右が傾斜度だからね。」
カゲホーク「こんなら、わしになんさせよっちゅんじゃ!」
フェイリー「テイクオフ!」
カゲホーク「お、おう!」
反射的に右グリップを押し込んでしまったカゲホーク。
ロケットを噴射しカタパルトを離れたエクスチェンジャー、火口を利用し作られた発進口に飛び込む。
コクピット内のカゲボークとフェイリー、急激なGに必死で耐えている。

シーン#23 神ノ孫島上空

火口から飛び出したエクスチェンジャー、そのまま一気に上空に向かい、回転するスターボウの中心を突っ切って行く。

シーン#24 宇宙(火星と地球の間)

首なし状態のまま火星方面から地球目指し飛行するファーザー。
腹部コクピットのハカイダーのもとへ唐突に通信が入る。
カゲホークの声「オウ!ワシじゃ!聞こえとんなら!」
ハカイダー「その声、いつぞやのトップ屋が、何の用だ。」
ファーザーのレーダーが、地球方面から高速接近してくる飛行体を捉える。
カゲホーク「こんなにロボの頭ぁ持ってきてやったんじゃ!
 今からどっきんぐするけぇ、じっとしちょいてくれや。」
宇宙空間を、どんどんファーザーに近づくエクスチェンジャー。
ハカイダー「ドッキングだと?貴様、それに乗っているのか。
 おい待て!」
ハカイダーが言い終わるか終わらないかのタイミングで、ファーザー首の位置にあたる穴に機首から突き刺さるエクスチェンジャー。
ハカイダー「何を…なんてことを…」
ファーザーの頭部に変形するエクスチェンジャー。
カゲホーク「ほうじゃった、どっきんぐした後のメインコントロールは頭部こくぴっと、つまりこっちになるけぇ、そこんとこヨロシク!」
ハカイダー「ちょっと待て、それはきいとらんぞ。」
アゲホーク「よっしゃあ!とっとと地球に降下して、アーマゲ丼とやらにケツバットじゃ!
 でかい機体は、ゴキゲンじゃの〜〜!」
両腕でガッツポーズを取り、地球に向かうファーザー(以降この完全体の状態をファーザーEXと呼称。」

シーン#25 北極点

その四肢を氷に深々と食い込ませ、背中の特大バーニアから広範囲にジェットを噴くアーマゲドンゴッド。その手前で銃撃戦を繰り広げるKと、スペースバドーの宇宙工作員部隊。長い両手にサブマシンガンを握り、空から掩護射撃するロボコンモスキート。
熱でボディーを発光させながら大気圏入りしてきたファーザーEX。
カゲホーク(エコー入りの声で)「こんなら、どいとけゃあ〜!」
アーマゲンゴッドと対峙する位置に、氷山を背に降り立ったファーザーEX、大気圏突入時の摩擦の余熱で破綻した氷のヒビがアーマゲドンゴッドに向かって走る。
アーマゲドンゴッド周辺の氷の層が崩壊。飛び散る氷塊の中、バーニア出力を落とすアーマゲドンゴッド。
アーマゲドンゴッドへ、握った両拳を向けるファーザーEX。
カゲホーク「ふれいむなっ甲!」
ハカイダー「フレイムナックルと、正しく発音できんのか。」
ファーザーEXの拳から炎が噴き出し、火球と化した拳がロケットパンチとなってアーマゲドンゴッドを襲う。
首を僅かに動かし顔を上げたアーマゲドンゴッド、遮光器眼から怪光線を発射し火球を撃ち落とす。
カゲホーク「不破せいばあ!」
ファーザーEXの肘から三日月状の刃が飛び出す。
K「ファーセイバーのことらしいな。」
ロボコン「けいサン、ココハふぁーざーニマカセテイマノウチ、カセイヘサラワレタユミサンタチヲ!」
ロボコンモスキート、サブマシンガンを一斉掃射。
宇宙工作員部隊、遂に全滅。
K「そうしよう!」銃を懐に仕舞い、少し離れた所に停めてあるスパック号目指してダッシュ。
ファーセイバーを構え、突進するファーザーEX、バーニアを止め立ち上がり迎え討とうとするアーマゲドンゴッド。
両機激突。
アーマゲドンゴッドの腹部に深々と刺さった二本のファーセイバー。
ブーステッド「しまった!これではグラビドンの発射口がひらかん。」
バーニアを再び点火し小さく噴かすアーマゲドンゴッド。それだけでファーザーEXはものすごい勢いで押され、氷山に背中から激突。氷塊が飛び散る。
ハカイダー「影!今すぐ腹部コクピットのハッチを開くんだ!」
カゲホーク「なんする気なら!勝手な作戦しちょると、ぶっ裂くど!」
ハカイダー「スペースバドーの奴ら、アーマゲドンゴッドの超破壊エネルギーを全てバーニアに集中できるよう最終回路を改造しておるのだ!」
フェイリー「ハカイダーの言ってることは本当よ。
 あいつがあのバーニアをもうちょっと大きく噴かすだけで、このロボットを後ろの氷山に完全にめり込ませることも、私たちを引力圏外まで押し飛ばすことも簡単にできてしまうのよ。」
開いた腹部ハッチから顔を出しショットガンを構えるハカイダー。
ハカイダー「アーマゲドンゴッド、貴様の設計図は俺の、この頭脳の中にも有るのだぞ。最終回路が付いている所は…」
ハカイダー、一点に狙いを定め、ショットガンの引鉄を引く。
ハカイダー「そこだ!」
ハカイダーショットから発射された高周波弾がアーマゲドンゴッド胸上部の一点から背中まで貫通。
アーマゲドンゴッドの動きが止まり、バーニアの炎と遮光器眼の光がそれぞれ消える。
安堵したかの様に、崩れた氷塊の上にへたり込むファーザーEX。

シーン#26 宇宙(地球の引力圏近く)

地球をバックに進んでくるスパック号、その横にinしてきたロビン、スパック号と並んで飛びながら、自らの身の上を語り始める。
ロビン「私の住んでいたバレリーナ星はとても美しい星でした。
 処があるとき、暗黒星団シャインの尖兵キャプテンワルダーが攻め入ってきたのです。」
以下回想。
バレリーナ星全景。
王宮の中の皇帝ヒロ、王妃リリル、そして王女の正装をした人間だった頃のロビンとフェイリー姉妹。
暗黒の宇宙から迫るワルダーの巨大戦艦。
空襲を受ける町。
逃げ惑う民。
王宮に攻め入る兵士たち。
殺される皇帝ヒロと王妃リリル。
ロビン「それまで平和を謳歌し戦う事を知らなかった私たちはたちまち制圧され、星の指導者だった父と母は殺されました。
 練金術師でもあった母は、死の直前、私たち姉妹がワルダーの慰みものにされない様にと最後の力を振り絞り、私をロボットに、もっと幼い妹のフェイリーはより捕まりにくいよう小人ロボットに変える術を施しました。」
瀕死の体で術を行なうリリル。
現在の姿にそれぞれ変わるロビンとフェイリー。
ロボットのロビンを重そうに運ぶ兵士たち。
ロビン「それでも私の方は捕まり、かなりな屈辱を受ける羽目にはなりましたが、その代わりシャインが次にあなたがたの星、地球を狙っている事を知ったのです。」
ワルダーに体を撫で回され、屈辱に涙を浮かべるロビン。
モニターに映った地球を指差すワルダー。
谷間からアーマゲドンゴッドの残骸を引き上げる巨大歯車。
ロビン「息の掛かった地球の犯罪組織・スペースバドーを使い、奪った最終兵器に巨大なバーニアを接続し、それで地球をシャインの星系へ移動させようと云うスターダスト計画。」
スペースバドーの火星基地内で、アーマゲドンゴッドの背中に取り付けられる巨大バーニア。
バレリーナ星から脱出する一機の宇宙艇。
ロビン「フェイリーの助けによってキャプテンワルダーのもとを辛くも逃れた私たち姉妹は地球へやって来ました。
 そして途中、火星上空でスペースバドーの攻撃を受け、地球の山奥に不時着した所を助けてくれたのが、ハカイダーだったのです。」
火星圏で巨大歯車からのガトリング砲攻撃を受ける宇宙艇。
地球の山奥に不時着する宇宙艇。
宇宙艇を探索に現れるハカイダー。
(回想シーン終わり)
ロビン「最終兵器を取り戻すと云う、一部私たちと共通する目的を持ったハカイダーに妹を預け、私は他にも協力者となってくれる人が居ないか探索しました。そうして見つかったのがK、あなたと、あの鷹志田影さんだったのです。
 あの時妹に業と急所だけは外し、あなたを撃たせたのも、鷹志田さんに飛行スーツを与えファーザーの操作をマスターしてもらう為だったのです。
 許して下さい。」
フェイリーがサタニックボウガンに変形し、Kを撃つカット、フラッシュバック。

シーン#27 火星

降下してきたスパック号の前に飛びはだかる巨大歯車、巨大ハグルマンへの変形を開始する。
K「ドリルアロー発射!」
スパック号屋根のカタパルトから撃ち出された二発のドリルアロー、変形途中の歯車に噛み込み、その動きを止める。
左腕にドリルカッターを換装したK、スパック号のサンルーフから、原子ジェットで飛び立つ。
変形途中で止まった歪な巨大歯車真上から急降下するK、ドリルカッターで歯車内部に突入する。
巨大歯車内部で接触する壁、機械類その他のことごとくを粉砕、突破して行くKのドリルカッター。
遂には巨大歯車の底面まで貫通し、そのまま真下の地面を掘削、潜って行くK。上空で起きる巨大歯車の爆発。

シーン#28 スペースバドー火星基地地下牢

両手を、天井から吊られた鎖で拘束されている奈美、由美、新條の三人。
ドリルカッターで天井を崩し降り立つK。
新條「K!」歓喜の声。
右手刀の電磁カッターで由美、奈美、新條の順に両手の鎖を斬ってやるK。
由美「K!」
奈美「Kさん!」

シーン#29 宇宙(火星圏)

Kの運転で助手席に新條、後部座席に奈美、由美を乗せ、火星を後にするスパック号。

シーン#30 ある夏の日の路上

けたたましく響く蝉の鳴き声。
「アイスキャンデー」と染め抜かれた幟を背中に縛り付け、アイス売りのバイト中のロボコン。ボンネット中央にハートマークが一つ。頭に麦わら帽子をかぶり、派手なフレームのサングラス(うまく目の上に掛からず鼻眼鏡のようになっている)、肩からタオルまでかけている。
遠くから手を振りかけてくる夏服セーラーの由美。学校帰りらしく、左手からマジソンバッグを下げている。
由美「ロボコーン!」
由美、ロボコンの前まで来るとマジソンバッグから財布を取り出す。
由美「今日はアイス屋さんでアルバイト?3つ頂戴。」
ロボコン「バニラ、抹茶、コーヒー味と有りますが。」
由美「抹茶3つ。」
ロボコンの、頭部を覆うドーム状アーマーの、二つの丸いレンズに数字が表示され、その数字がカシャカシャと目まぐるしく変わって行く。
チーン!
両方のレンズに「¥150」の表示。
ロボコン「はい、3つで150円であります。」
由美、お金を払いアイスの袋を受け取ると、再び手を振りながら駆け去る。
ロボコン「アリアトオザマース!」

シーン#31 芝家の2階

出窓に腰掛けアイスを食べながら、蝉の声にうっとおしそうに聞き入る由美。
由美「まだ5月なのに、何この暑さ、本当に地軸狂っちゃったんだね。」
奈美は卓袱台の前に行儀よく正座しアイスを食べている。
由美「ね、ね、おねえちゃん、これからずーっとこんな気候続くのかな。」
奈美「あら、そんな事ないわ。
 今南極点でKさんたちが、地軸を戻すための工事をしてるでしょ。」
奈美の台詞、次シーンにかぶる。

シーン#32 南極点の工事現場

巨大なレッカー3台、そして4台のボーリングマシンが据わり、アーマゲドンゴッドから取り外した巨大バーニアを地表に据え付ける作業をしている。
奈美の台詞(かぶり)「あと5年もすれば地軸もすっかり元通りになるんですって。」
図面を指さし監督に指示を出すK。その後ろを立派なトンネルボウラーが走り抜けて行く。
キャメラ、地下へPAN。

シーン#33 南極現場事務所の地下ラボ

アツリョクガマンやスペースバドー工作員らの残骸が安置されている。
ハカイダーの口笛。
コードマンの戦闘ヘルメットの隣のカプセルの中、培養液に浸されたサイボーグC2の生首。その前に立ち止まる黒い人影。
ハカイダー「生きたいか?」
無反応の生首。
ハカイダー「己の意志を持って生きるか?」
コードマン戦闘ヘルメットの目に刺さった電極から隣の培養カプセルに向かってアークが走る。
カプセルの中、目を開く生首サイボーグC2。
室内全体に広がったアークが、ハカイダーのボディを照らし出す。
「三郎のテーマ」インストゥルメンタルをバックにエンディング。