暖炉のある暮らし



暖炉への思い入れ
 家を建てようと思った時にまず考えたのが少しでも実際の建築に参加したいということです。そして少しでも自分が参加できそうなログハウスが候補として浮上し、本を読みあさっているうちにいつしか暖炉のある生活にあこがれるようになりました。結局家のほうはメンテナンス、住宅性能を考えて現在の選択になりましたが、その後も暖炉への憧れは消えることがありませんでした。
 暖炉は薪の調達や立ち上がりの遅さ、メンテナンスなど不便なことはたくさんありますが、通常の生活にはない良さもあると思います。また、資源の少ないこの国で暖房に貴重な化石燃料を使用せず、廃棄処分となる廃材を使用したりすることで、少しでも地球温暖化防止に寄与できればと考えています。  それとうまくすれば暖房費がゼロになりますのでランニングコストの低減にもつながりますし、薪集めや薪割は自分の健康管理、家族の会話、行楽のかわりにもなり、言うことなしです。






ハウスメーカーとの戦い
機種選定の過程
薪集め
補助道具
使用した感想











ハウスメーカーとの戦い

 「戦い」といえばおおげさですが、導入についてはハウスメーカーと考え方の差があり少々もめました。そもそも暖炉というものは高気密・高断熱住宅とは相性があまり良くないようです。

 主な理由は次のものです。

 ・燃焼時に室内から燃焼用空気を吸い込む
 ・煙突貫通部分の気密・断熱がとりづらい
 ・暖炉、煙突自体が気密を取れない

 たしかにいわれてみればそうです。気密・断熱性能を最重点課題としてハウスメーカーを選択してきたことと暖炉の採用は、大きな矛盾となります。このことで一時は暖炉の採用をあきらめようかと思いましたが、夢は捨て切れず、最終的には暖炉を設置してもらいました。ただし、今回設置した暖炉は、燃焼用空気を外部から導入する(いわゆるFF方式)ものであり、高気密住宅にとって残された問題は煙突廻りでの気密性能低下だけとなりました。







こんな暖炉です。(メーカーカタログ)








機種選定の過程

 いろいろと討した結果、「コンソリデーテッド ダッチウエスト ジャパン」が取り扱っている「FA455 セコイア」を選択しました。他にもすばらしいメーカー、機種があると思いますので、がんばって探しましょう。

1.選択理由と特徴

    この暖炉を選択した最大の理由です。しくみはFFヒーターのように外部導入するダクトがあり燃焼用空気はそこから供給されます。今回は外観上の問題と少しでも床下の換気量を増やしたいと考え、床下から燃焼用空気を導入することにしました。
 
2.少ない排気ガス量
 
   キャタリティックコンバスターの採用などにより排気煙量は1.3g/hr、燃焼効率は72%です。標準的な暖炉の値については良く分かりませんが、ここまで具体的な数値を表示しているものは少ないのではないでしょうか。(最近はコンバスターなしで燃焼効率70%台を確保しているものもあるようです。)
 
3.石炭燃焼が可能
   将来(年をとった時など)薪の調達が困難になった場合でも使用できるように石炭を使用できる機種を選択しました。どこが違うのか良く分かりませんが、きっと耐熱温度や材質が違うのでしょう。
 
4.十分な熱容量
   今回の住宅は全館暖房に必要な熱量は机上計算で3,800kcal/hです。
 今回選択した暖炉は最大燃焼時12,600kcal/hもありますので問題はまったくありません。しいて言えば、家の高い断熱性能と暖炉の最小燃焼時の熱発生量の関係で初冬は窓を開けながら暖房することになるのではないかということです。
 







薪集め

 薪集めの方法はいろいろあるようです。
 私の場合はとりあえず新築時に出る廃材を集めました。木ならなんてもいいと思っていたのですが、合板など接着剤を使用しているものは燃焼温度が高く暖炉を傷めるとのことで使用できません。今後は解体業者の方から解体時に出る柱などを譲り受けたり、大工さんから端材をいただくこと、休日は河原や山へ出かけ流木拾いをして確保しています。







補助道具

薪作りに必要な道具について説明します。

1.チェンソー
   前にも書きましたが、今後の薪調達は解体業者の方から柱などをいただくことになると思いますのでエンジンチェンソーを近くのホームセンターで展示品現品限りを引いてもらって購入しました。
 実際に使用して感じたことは手入れを怠らないことです。よく切れるチェンソーのポイントはチェーンの目立てと張り具合が肝心です。新品のソーチェンでも自分で目立てをしたほうがいいという本もありました。


2.アックス
 
   薪割に必要です。先の尖っているほうがいいように思えますが、薪割には先端は丸く、その後の角度のついているほうがいいそうです。
 出来れば実際に振り下ろしてみたりして実際の感覚を大事にしてはいかがでしょうか。
 見ていると簡単なようですが、実際はなかなか大変です。


3.薪割り機
   始めはこんな高いものは不要と考えていましたが、太いものを割ろうとすると欲しくなります。市販品は20〜30万円するそうです。
 鉄パイプや鋼材とジャッキで自作しようと思考中です。








使用した感想

 1.暖かい
   まず、「暖かい」ということです。なぜだかわかりませんがからだの中から暖まるようです。

 2.雰囲気がいい
   炎を見ながらのアルコールは最高です。

 3.運動できる
   薪の準備は想像以上に大変でした。私の場合で一冬25m3程度の薪が必要なようです。これだけの量の薪を作るのは大変なことです。よっぽどのかたい意志がなければ継続できません。
   (あまりにも大変なので、自分も挫折しそうになっています。)
   よくいわれることですが、薪を作る時、火をくべた時の体、心の3回暖められるというのはどうも真実のようです。

 4.広大な(?)敷地
   薪の保管、乾燥スペースが必要です。1年乾燥させるとすると私の場合で最高50m3の容積が必要になります。

 5.ご近所迷惑?
  始めはあまり考えていませんでしたが、薪を作る時のエンジンチェーンソーの音は意外と大きく気になるものです。ご近所が迷惑に感じていないか、考える必要があります。(立場が逆だったらいやですもの・・・)

 6.意識改革
  今までは何も感じなかったことでも「薪になる」と思うことで多くの無駄に気づきました。建築廃材、伐採、木材加工時の端材などなど 視点を返ればごみもダイヤになるのだとつくづく感じました。