宝寿院文化財

 

山 門(富山市指定)

 三間一戸の楼門形式(二階建て)ですが、一階は三間一戸の薬医門形式(平屋建て)となっています。

一階の上に土台を敷いてその上に二階が完全に分離して乗り、軒下と縁桁の下は二段の薫龍組で迫り出した特異な構造です。

 屋根は入母屋造りの桟瓦葺きで、俗に赤瓦と呼ばれる弁殻(第二酸化鉄)を釉薬にした雪国ならではの凍てに強い赤い色をした瓦で葺かれており、屋根面や軒及び棟にはゆったりとした反りが付けられている。

 建物は先に述べたように、三間一戸の楼門形式でありながら一階が薬医門形式で、二階は完全に分離して一階の上に土台を敷いて乗る特異な構造である事や、一階部分と二階部分には材質や風蝕などの違いがみられ、明らかに一階部分が古く二階部分が新しい事などから考え、当初、素木の三間薬医門(平屋建て)であったものを改造し、正面側両端に補強の控え柱を立て、屋根を撤去して新たに二階部を乗せて、建物全体を朱塗りにしたものと思われる。



 これを裏付けるものとして、寺には門に関した二枚の棟札があり、一枚は「當寺門棟札 享保七年(1722)大工柳原久之丞」で、もう一枚は111年後の「奉造営楼門棟札 天保4年(1833)大工棟梁堀志摩正矩」である。平成16年度(2004)に行った解体修理により確認されています。

 この山門は他に例をみない蒸籠組で迫り出した特異軒構造で、軒も深く小社ながら雄大性を加味しています。優れた構造と意匠を駆使したこれだけ大胆な改造は珍しく、棟札も残り建立当初や楼門改造時の年代も明らかであり、資料的価値がある。

 平成17年3月山門修復落慶法要には三枚目となる棟札が掲げられました。



平成16年4月から約1年をかけて、富山国際職藝学院生により半解体による修復を行った

 三千仏は、過去・現在・未来にそれぞれ千体の仏がおられるという考え方にもとずいて、過去仏には薬師如来を、現在仏には釈迦如来を、未来仏には弥勒菩薩を中心の仏として大きく描がき、そのまわりに千体の小さな仏をかいたもので、すべてを合わせて三千仏といい、過去・現在・未来の三幅の仏画になっています。

そして、陰暦12月19日から3日間にわたって行われる「仏名会」という行事に三千仏の図をかかげ、三世の仏の名前を唱えてその年の罪けがれを浄めたといわれます。

 三本の仏画は、富山市中大浦の「福円寺」という寺にありました。福円寺は応仁の乱ころ(1469〜)越中の国を支配(守護代)していた神保氏の家来になった、中大浦の小林隼人という武士が建てた寺です。三千仏図は寺宝として明治まで伝えられてきましたが、明治3年の合寺で福円寺が廃寺となり、過去仏は富山市大沢野の帝龍寺に、現在仏は宝寿院に移り、未来仏は富山市の大山民族資料館に保管されています。特別な行事以外は公開しておりません。

 三千仏の大きさはともに縦149センチメートル、横121センチメートルで、粗い絹地に仏さまが描かれています。もとは極彩色であったが今もその面影が残っています。室町時代の製作とみられます。

三千仏図  現在仏(富山県指定)

薬研彫棟札(富山県指定)

 薬研彫棟札というのは、漢方の薬をきざむ容器を薬研といってV字形にくぼんだ器の中に薬を入れて、円盤のような刃物できざむのです。ですからV字形に文字を彫刻した札です。棟札は建物を新築した時に棟に上げる木の札で、工事の由来、建築の年月日、大工の名前などを記したもので、棟札で県の指定を受けたのはこれだけです。

 昭和5年頃、宝寿院の山門の天井から発見されました。一字一が力強く雄大に堀りこまれています。

棟札は長さ108センチメートル、幅13センチメートル、厚さ4センチメートルの立山杉の柾目板で、釘の掛け穴もついている。棟札に記された内容は、応仁元年(1467)4月に立山寺(現雄山神社)の明舜法印によって某社が建立され新殿に神様を移したのが11月15日であった。その社が以前に建てられたのは、承久2年(1220)8月8日であったと物語っています。

 そこから前の社殿が250年間も風雪に耐えてきたことがうかがわれます。それではこの時造立された社はどこかというと、後に宝寿院の鎮守の社となった文珠寺武部神社であろうといわれています。

奉造立社頭

応仁元年 四月甘八日

願主 明舜法印七十八歳

御遷宮同十一月十五日

以前造立棟札承久二年 八月八日

 宝寿院には,県内最古の「明徳元年(1390)」の銘が彫られた鰐口がある。その背面には,1441

(嘉吉元)年の「飛州五社宮」の彫銘もある。

二面に異なる銘文が彫られている。最初、文殊寺の什物であったものが、五社宮に移り、再び文殊寺に戻って現在に至る。その間の、兵火と明治時代初期の神仏分離という変革に由来する物と推測される。

鰐 口(富山市指定)

嘉吉元年

修復前の山門

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