第103話   馬渡る        富山市二松



 二松と坂本の中間地帯を流れる川を古田川と呼ぶが、古い記録によれば中沢川とある。この川の流域が坂本古田とも赤田割ともいい九万坂まで続いている。
 馬渡るというのは、中沢川に架けられていた土橋、つまり田んぼの畦より少し高いくらいの道路があり、土橋が架けられていた。雨が降ればよく橋が流され、あとに石を二つ三つ置いて、その上をトントンと渡った。馬渡るという言葉は、いつ頃から言われていたかは明らかではないが、相当古く千年以上も前から言い伝えられたものであろう。村の北の入口に当る切立橋のところも似たようなことであった。
  
「開村百七十周年記念 二松のあゆみ」