第108話  帝竜寺の大蛇     富山市船峅

 富山市発寺家行きバスの終点が、名刹帝竜寺前である。この寺はもと退竜寺、また、帝立寺といわれ、古く奈良朝の大宝元年(七〇一)の創立を伝えている。



 同寺の縁起に、昔寺の奥地の池原に大蛇が棲んでいて、人畜を害することがひどかった。当時この寺の住職がこれを退治し、その害を除いて、寺を退竜寺と改めたものといわれる。
 寺は、はじめ文武天皇の勅使によって建てたので、そのさきは帝立寺であったが、のちいまの帝竜寺となったものである。
 なお、大蛇のいた大池は、退治とともに水が涸れて原となったので、池原と呼ばれるようになったのだといわれている。
                                    
「大沢野町誌」