第109話 闘鬼が岩の大トカゲ 富山市下夕
下夕地区の芦生の神通峡に発電所ができない前、闘鬼が岩という伝説の大きな岩があった。
ある年、この村の太兵衛という者が、水神を刻んでここに祀った。以前から八月十四日にこの水神様の前で導師を招いて、村の男たちで川施餓鬼を行っていた。いつの祭りのときでも、この岩のどこから来るのか四十センチくらいの大きなトカゲが現れて読経の間はまばたきもせずジッとしていて、お経が終わると姿を消すので、村の人たちは岩の主だといっていた。
「越中伝説集」