第31話  「弘法の清水」伝説  富山市牛ケ増



 神通峡には、牛ケ増にも、「弘法の清水」といわれる湧き水があります。伝わっている牛ケ増の民話は、次のとおりです。
 越中から飛騨へ、神通の清流にそった道は、しだいにけわしさをましてくる。弘法大師は今日もまた人々をおしえさとすため、つかれた足をはこんでいた。
 今の大沢野町牛ケ増まで来たとき、一軒百姓屋があったので、「お湯をいっぱいごちそうになろう」と思った。
 ところが、この家のおばあさんは名高いけちんぼうだったので、「あんなこじき坊主にお湯なんて」と思い、お米のとぎ汁を大師に飲ませた。
 それ以後、牛ケ増の水は、いくら天気のよい日でも、白くにごっているという。
          
「大沢野ものがたり」