第46話 新「宝樹寺のげんま松」 富山市東猪谷
私たちが子どもの頃、大木の股から天狗がでるという こわい=@話はよく聞かされました。ちょうどお寺の黒松の大木は途中に股があるのです。
この黒松に何十年も前から住んでいた天狗は、毎日、お寺の様子を高い所から見ていました。
源マ小僧が朝早く起きて掃除をしたり仏様におまいりしたり、お使いに行ったり、一生懸命働いているのを見て、何時も感心していました。
ある月夜の晩に、和尚さんに言われた命日回向を勤めて、お寺へ帰って来ましたが、あまり丈夫でない源マは寝込んでしまいました。
心配した天狗は、源マが早く治るよう祈祷しましたが、とうとう治らず死んでしまいました。
この天狗はお寺の番と源マを見守ってきたのですが、可愛い源マが亡くなったので、大変悲しみ、嘆き、遠い遠い山奥の大木のある所へ引っ越してしまいました。
※「げんま」の話があまりかわいそうなので、別の「げんま」ならいいなあと思いつくりました。
伊藤記
「郷土研究 大沢野下夕南部 野菊の会編」