第55話  小糸のお不動様         富山市小糸

 小糸集落の中央より、案内の看板に沿って山沿いを五百メートルほど行った所に、不動谷があります。
道を右に曲がり、その不動谷を三十メートルほど登った左手に、大小二つの不動滝があり、その反対側の岩窟を利用したコンクリート建の御堂の中に不動尊がお祀りしてあります。言い伝えによると、この不動尊は次のようにしてここに祀られたということです。
 明治の中頃か、尾島家の先祖の老主人の夢枕に不動様が立たれ、「私は、今、川に流されて困っているので助けてください。加賀沢の上の川原にいる。助けてくださったら、小糸の村をお守りしてあげます」と。尾島さんは村の衆に相談して助けることになり、数人でお迎えに行きました。
 加賀沢の上流を探して行くと、半分ほど砂に埋まった不動様を発見しました。さっそく掘りあげて交代で背負い、また、荷車の通る所は荷車で運び、西猪谷に着きました。その後は、また背負って村まで運び、現在地の祠に祀ったと云われています。



 その後、村には何事もなく、平穏無事が続いています。
 
「郷土研究 大沢野下夕南部 野菊の会編」