第61話 帝竜寺の三秘宝 富山市寺家
船峅山(せんべんさん)帝竜寺は、大宝2年(702)文武天皇の御血縁の真福親王が建立されたと伝えられている。
帝竜寺の本尊虚空蔵菩薩は、姉倉姫の本地仏で、代々の住職は、社僧として司っている。神仏混肴の名残を今も留めている。
虚空蔵菩薩は、右手に利剣、左手に宝しゅ持つ坐像である。
虚空蔵とは宇宙の太陽や地球等全てのものを包容するようにその知恵は計り知れない。
知恵をさずける仏様として信心されている。
昔、寺家に八郎右エ門という信心深い人がいて、ある夜、夢の中で「我は嵯峨野の虚空蔵菩薩である。越中は船峅山に行きたいから、美濃の大垣まで、おまえに迎えに来てほしい」とお告げがあり、その通り丁重に帝竜寺にお運びし、安置したといわれている。三十三年に一度ご開帳される。
十一面千手観音像は、帝竜寺の秘仏であり、木彫寄木作り、総高三尺三寸、腰幅八寸、腰の奥行七寸。お顔は玉眼と白毫には水晶を入れ、材質は檜で頭上には十体の化仏をいただいた十一面観音の姿である。
内側正面に千手仏、内側背面に北六道越前国坂南郡春近御庄南郷太堂寺住侶讃岐房覚乗同弟子薩摩房定応所弐人之作也と墨書銘がある。
千体仏絹本着色軸は、県指定文化財であり、縦五尺三寸五分、横四尺五分大軸画面中央に月輪を描き、蓮台の上に過去仏を描いて周囲一面に小仏像に金箔を押し、千体並べたもの。同じ形式で現在仏と未来仏が他寺にあり、三幅併せて三千仏といわれる。
「大沢野町 ガイド」