第67話 竜巻の伝説 富山市岩稲
現在は岩稲部落の中央で、飛越ドライブインのある所から、山下さんのあたり一帯を祭田と言っている。すぐ前の坪岳の麓に湧き水が出て、雑木が生い茂り、藤づるやツタが掛った所で、村人は祭田の地鎮様と呼んでいた。付近には墓地も点々とあって、薄気味悪い寂しげな所であった。
昔、ここから辰が昇天した。辰は、海に千年、川の功を経て、天に昇って龍となる。昇天する時は、雲を呼び、風を起して、付近の木や石、土、水を巻き上げ、体を巻き上げ、体を何者にも見られないようにして昇る。この時も、大暗闇に地響きを立てて、もの凄いことであったという。
その跡は、大きく深い穴ができ、後年、村人は、その付近を田に広げたが、深い所は、アゼをこしらえて、作っていた。しかし、現在では、盛り土されて、高山線の用地となり、毎日、その上を列車が走っている。
「ふるさとのわらべうたとむかしばなし」 細入婦人学級編