オーメン
原題:The Omen

監督: リチャード・ドナー
制作: ハーヴェイ・バーンハード
脚本: デヴィッド・セルツァー
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
撮影: ギルバート・テイラー
製作年: 1976年
製作国: アメリカ
上映時間: 111分
出演: グレゴリー・ペック (ロバート・ソーン)
     リー・レミック (キャサリン・ソーン)
     デヴィッド・ワーナー (ジェニングス)
     ビリー・ホワイトロー (ミセス・ベイロック)
     ハーヴェイ・ステファンス (ダミアン)
     パトリック・トラフトン (ブレナン神父)
     ホリー・パランス ([乳母)
     レオ・マッカーン (ブーゲンハーゲン)
     …他

【STORY】

ローマ。6月6日午前6時。二人の子供が生まれ、内一人が死んだ。
病院に到着した外交官ロバート・ソーンは、我が子の誕生を心待ちにしていた妻のため、生まれて間もなく息を引き取った実子の代わりに、同時刻に生まれ、母を亡くした子供を薦められるまま養子にすることを決意。
その事実は妻キャサリンにすら伝えられる事は無かった。

数年後。イギリス駐在大使に任命されたロバートは、妻と、ダミアンと名付けられた息子と共に英国の豪邸へと移り住み、幸せな日々を過ごした。
そんなある時、ダミアンの五歳を祝う誕生日会の席で、乳母が突然、ロープを首に巻いたまま屋根から飛び降りて果てた。そしてダミアンを草むらの影から見つめる一匹の黒犬。

乳母の死
現場に居合わせたカメラマンのジェニングスは、その日に撮影した写真に“ある物”を見つけ、以来ロバートをマークし始める。

事件記者が大使館にまで押しかける中、ロバートを訪ねてブレナンと名乗る神父が現れた。
ローマからやって来たというブレナン神父は、執務室に通された途端に意味不明な警告を発し、誰も知らぬはずのダミアンが養子であることを告げた上で言った。「ヤツの母親は 山犬だ!」…と。
外で一服していたジェニングスは、警備員に追い出されたブレナン神父に気付くと、その姿にカメラを向けた。
自宅に戻ったロバートは、新しい乳母として雇われたというベイロック夫人の訪問を受けた。
誰もそんな公募など出していないことに気付いた夫妻は、ミセス・ベイロックに詰め寄るが、周旋所の配慮によるものだと紹介状を差し出され、二人はそれを受け入れた。

ある日、教会での結婚式に招かれたソーン夫妻は、ダミアンを連れて出掛けた。ところが教会に近づくにつれダミアンの様子が一変、激しく号泣し車内で暴れるダミアンの姿に、車を降りることなく教会を後にする。

号泣
その夜。教会での出来事を考えていたロバートは、これまで一度としてダミアンが病気にかかったことがないことに気付いて不信感を抱くが、キャサリンはその方が良いと一笑した。
ロバートはダミアンの様子を見ようと子供部屋へ向かうが、そこで彼を出迎えたのは黒犬だった。
表にいたのをダミアンが気に入ったので番犬にでも…。そう言い繕うミセス・ベイロックに、ロバートは追い出すよう言いつけた。

再びブレナン神父が接触してきたのは、ロバートがラグビーボールの試合を観戦しに行った時だった。「奥さんの生命に関わる話です」そう言われたロバートは、渋々ながらも翌日、指定された場所へと赴く。
公園のベンチで彼を待っていたブレナン神父は、黙示録の一節を読みあげると、イスラエルに在住するブーゲンハーゲンという男に会って、ダミアンを抹殺する手段を乞うよう促す。更にはロバートすら知らない妻の懐胎を告げ、ダミアンの正体は悪魔の子であり、ロバートの私財を独占するためにその生まれ来る子供とキャサリンを、やがてはロバート自身をも殺害すると警告する。

公園での密会

ブレナン神父の言葉を無視して帰宅したロバートだったが、その夜、妻から妊娠していることを告白されたばかりか、自分と別れた直後、ブレナン神父が頭上から降ってきた鉄針に体を貫かれて変死したことを新聞によって知らされる。
そしてブレナン神父の予見したとおり、キャサリンは事故によって入院、命に別状はなかったものの子供は流産した。
落胆と不安のうちに家に戻ったロバートは、ダミアンの枕元で唸りをあげる黒犬を見た。それは先日、ミセス・ベイロックに追い出せと命じたはずの黒犬だった。
その直後、ジェニングスから電話が掛かった。「あなたと、死んだ神父の事で話をしたい」
「いいだろう」 ロバートは考える間もなく即答した。


ジェニングス
ジェニングスのアパートで、ロバートは彼の撮った数枚の写真を見せられた。
ダミアンの誕生日会で首を吊った乳母、そしてブレナン神父。それぞれが生前に撮ったどちらの写真にも、その死に様を予兆させるような跡がくっきりと写っている。
二人はブレナン神父のアパートを調べ、そこで彼が関わっていた事柄を整理して行くうちに、彼の言葉が全て真実であったのでは?と考えるに至った。
ここから先は私の問題だ…と協力を断るロバートに、ジェニングスは一枚の写真を見せた。そこに写った彼の首筋には、他の二人の犠牲者と同様の“跡”がくっきりと印されていた。


ダミアン出生の秘密。全ての答えがそこにあると踏んだ二人は、まず養子縁組が執り行われた病院へ向かう。だが当時の病院は、あの日の直後に出火に見舞われて多くの死者を出し、全ての記録が焼失していた。
それでも何とか、職員から当時の生存者の所在を突き止めたロバートらは、その先でダミアンを養子にするよう薦めたスピレトー神父を発見する。炎にまかれた際の傷で言葉も発せず、身体も不自由ながら、スピレトー神父はある古い墓地名を示した。


埋葬されていた物
チェルベット。ローマから北50キロの廃墟と化したなったサンタンジェロ墓地で、二人はダミアンの母親と、ロバートの実子の墓を発見する。
そこに収められていたのは、朽ち果てた山犬の遺体と、頭蓋骨に陥没跡のある赤子の白骨。ロバートは自分の実子が、本当は殺害されていた事を知った。

ロバートは宿の一室から電話をかけ、病院で療養中のキャサリンへすぐさまロンドンから離れるよう言うが、折り返しかかってきた電話によって、今しがた話したばかりのキャサリンの死を伝えられる。
意を決し、ブレナン神父が言い残したブーゲンハーゲンに会うため、イスラエル=エルサレムへ飛んだ二人。

ブーゲンハーゲンは悪魔を見分ける方法と、命を絶つためのと聖なる短剣をロバートに授けた。しかしダミアンと実子同様に接してきたロバートは、まだ迷いがある。そんなロバートを叱咤し、ならば自分が・・と、彼が投げ捨てた短剣を拾い上げたジェニングスは、突然バックしてきたトラックの荷台に積まれていたガラス板より、写真に予期された通り、首を切断されて絶命する。

イギリスへと向かう旅客機。
真剣な面持ちでシートに座るロバートの手には、聖なる短剣が納まる布袋があった・・・。



【MEMO】

この映画は製作当初からシリーズ物として企画されていたそうで、結果としては三作目で完結となっていますが、実際には四部作,あるいはそれ以上の、大長編ドラマになる予定だったようです。(もしかして、《猿の惑星》シリーズに気を良くしてかな?。)
この《オーメン》も、監督リチャード・ドナーの演出や役者さんたちの力か、独立した一本の映画としても十分面白いのですが、他の二本と比較すると色々発見できるかも知れません。


劇中に流れる不気味なテーマ曲は、アヴェ・マリアならぬ“Ave Satani”。
同曲は第49回アカデミー賞の歌曲部門にノミネートされ、音楽担当のJ・ゴールドスミスは作曲賞を受賞しました。
ちなみに“Ave Satani”に謳われる内容は(↓)こんな感じ。
「血を飲み干し,肉を貪れ,サタンの肉体を育てよ,
反キリストを讃えよ,サタンの到来を讃えよ」


ダミアンの誕生から、育ての親がそれに気付いた事で非業の死を遂げるエンディングまで、物語の展開はむしろ静かです。
リチャード・ドナーいわく、「見方を変えれば、精神に異常を来たした父親の妄想劇にも成りえる」...が示すように、序盤の首くくり,鉄針による串刺し,ガラス板による断首,どれも衝撃的なシーンではありますが、そこには凶悪な殺人鬼やモンスターの姿があるわけでもなく、「ただ、そうなった」としか言い様のない状態です。

無論、悪魔の降臨という超常現象を題材にしてますので、そこには何らかの力の存在があるのは明らかなのですが、その表現はあくまでも抑え気味で、かえって不気味さが増しているように感じます。

それに、どの残酷シーンにしても、余り血液がドバドバ流れないのも、この映画の特徴のひとつ。ショッキングな場面は多々あるのですが、ストーリーを盛り上げるのはダミアン出生の秘密が徐々に明かされてゆく経緯。
探れば探るほどに謎が深まり、誰かの死によって何かに気付いた者が次の犠牲者に…と、連鎖式に事件が起きる様はホラー映画というよりはサスペンスやミステリーの要素が強いかも。本人自身が意識しないままに、知れば殺されてしまう真実に近づいてしまうって何だか怖いです。


ネットで拾い読みさせてもらったのですが、ダミアン役ハーヴェイ君の父親は、自分の息子が悪魔の役だという事に 最初は猛反対したそうです。
でも、確かこの映画って、聖書にに関心を寄せる若者を急増させたとして、一部の教会から推奨されたと聞いたことがあります。・・・おかしな話だな(笑)。

また、映画後半、ロバートが妻の死を電話で告げられるシーンで、グレゴリー・ペックはもっと感情をあらわに演じたかったのに、リチャード・ドナーに説得され、本編のような感じになったようです。
ところが撮影後、どうしても納得がいかないグレゴリー・ペックは、しばらくの間ふてくされてしまい、監督と気まずい雰囲気だったそう。
うーん・・・分からんでもないけど、私が見た限りでは監督が正しかった気がするな。